外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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「黒田ライン」「黒田総裁が円安に警告」ーーちゃんと議事録を読まない専門家

2017.04.27

category : お役立ち?情報

2年前の黒田総裁の国会での答弁を誤解して、いまだに「黒田ライン」とか「黒田総裁が円安に警告」などと言っている専門家がいる事に驚きました。

そもそも為替は財務省の専管事項。元財務省(財務官)の黒田総裁がご存じないとでも思ってるんでしょうか?

「専門家」を自称するならば、少なくとも問題になった質疑の議事録を読んでから発言するのが当然です。

私が信頼し頼ったストラテジストは、「原本に当たらず孫引きで発言するのは無責任」といつも言っていました。

国会の質疑(議事録)はネット上ですべて公開されており、いつでもご覧になれます。

私が国会議員のスタッフだから読めると言う話ではありません。

ちなみに旧知のヘッジファンドから問い合わせがあったので、議事録を翻訳して送って説明したところ「なーーんだ(笑)」と理解してくれました。

私が現役なら、間違いなく「誤報だ」と言うニューズレターを世界中に送っていました。おそらく真っ当な専門家は、競って書いて送信しまくったんじゃないでしょうか?

つまり、ちゃんとしたストラテジストの話を聞くことが出来る立場の皆さん(ヘッジファンドや機関投資家、中央銀行などなど、私が本の中で「プロ」と呼んだ皆さん)は、間違いなく「誤報」だとご存知です。

ところがテレビでこれを見た視聴者の皆さんは、「事実」だと思いますよね?

その結果は火を見るよりも明らかです。


誤報が流されたのは、「衆議院 財務金融委員会:前原誠司議員と黒田総裁の質疑(平成27年6月10日)」です。

黒田総裁は非常に優秀な方です。ちゃんと読むと「今の為替レート」に関しては一切言及していません。

それを正しく修正する形での質疑が行われたのが、「参議院 財政金融委員会:中西けんじ議員と黒田総裁との質疑(平成27年6月16日)」です。

中西けんじ議員と黒田総裁の質疑(要約)

委員会室で黒田総裁の目の前でお聞きしていましたが、終止うれしそうに答弁をされていたのが印象に残っています。

前の週の質疑に関して誤報が流され、それで2円も相場が動いてしまった事が、よほど腹が立ったと言うか心外だったのだと思います。

ご興味のある方は、その時の議事録をご覧下さい(このブログの下の方)。

長いですが、私がいい加減な事を言っている訳ではない事を証明する意味で全文を掲載しました。


お時間の無い方は、一番最後のやりとり、中西議員の

「この実質実効為替レートですけれども、これはよく使う人いるんです。使う人というのは、、、、」

以降をお読み下さい。黒田総裁の真意がご理解いただけると思います。


ちなみに、黒田総裁が

「ただ、この理論を開発した人を私はたまたま知っておりますので、全く無意味だ、一顧だにするなと言われると、そこまで言う必要はないと思いますが、、、、」

と苦笑いをしながらおっしゃったので、委員会室が大爆笑に包まれたのは良い思い出です。

「黒田ライン」なんてありません。

専門家の妄言にだまされて、皆さんの大事なお金をドブに捨てないで下さいね。

今頃気づいたんですが、1年半前に同じ事を書いていました(苦笑)

ちゃんと議事録を読みましょうね(黒田ラインなんてありません)




<議事録の原文、つまり公式文書です>

189-参-財政金融委員会-15号 平成27年06月16日

○中西健治君
 私も、先週の衆議院の財務金融委員会での実質実効為替レートに関する黒田総裁の発言についてお聞きしていきたいと思います。

 答弁そのものというよりも、報道のされ方によってあれだけ為替相場が動いてしまったという思いが黒田総裁には強いのではないかなというふうに思いますけれども、ただ、議事録を確認していく中で、やはりここはちょっと真意を聞いておかなきゃいけないなというところがございますので、そこを中心にお聞きしたいと思います。

 総裁は、理論的にいうと、実質実効為替レートがここまで来ているということは、ここから更に円安に行くことはありそうにないと、こう発言をされました。

総裁は、一般的にですとか理論的にという枕言葉を多用されて、注意深く議論を行おうとしている姿勢というのは分かるわけでありますけれども、これ、円安という言葉を使ったりしていますので。為替の水準を決定する理論というものは私はないというふうに思っているんです。

その中で、理論的にというふうにおっしゃっていますけれども、それはどういうことなのかということをお聞きしたいと思います。

 私が思うに、総裁がおっしゃっていたことだけで判断すると、プラザ合意前の水準まで来たから、まあこれ以上は行かないだろうと直感的におっしゃっているというふうに思えるわけであります。

普通に考えるとという言葉も使っていましたが、これ直感的にということなんじゃないんですか。そこのところを御説明いただきたいと思います。

○参考人(黒田東彦君) 
先ほども別の委員の御質問の際に御答弁申し上げたとおりですが、先般の国会質疑で実質実効為替レートについて御質問がありまして、それに対して私から、足下の実質実効為替レートは確かに八〇年代半ばと同程度の水準になっているということを申し上げました。

ただ、その際にも一般的に、理論的にと申し上げたとおり、これが為替レートの水準とか日々の動きを何か占うとか先行きについて何か申し上げたということでは全くないわけでありまして、従来から申し上げているとおり、為替レートの水準、あるいは日々の動きについてはコメントを差し控えさせていただきたいということであります。

○中西健治君 
それだとまだ分からないということなんじゃないかと思うんです。理論的にというのはどういうことなのかということが分からないんです。

 ちょっと私、今日、チャートを一つ配付させていただいております。おさらいですけれども、実質実効為替レートというのは、デフレであれば円の価値が低くなる方向、資料のチャートでいえば下の方向に数値が出てくるというルールで計算される指標であります。

実質というのは、実質金利と同じで、インフレを考慮して計算をした数値というものということであります。

 したがって、このチャートの赤い線、円の実質実効為替レートが実際の為替の変動、これドル・円で一応代表させていますけれども、貿易相手国のウエーテッドアベレージになっているわけで、本来はそうなんですけれども、この緑の線と赤の線を比べて赤の線がずるずると下がってしまっているというのは、日本が長い間デフレ状態にあったという事実を示していることにほかならないというふうに考えております。

もしデフレでなければ、もっとこの赤い線は緑の線に近似していたでしょうし、ワニの口のように広がるということがなかったということなんじゃないかと思います。

 ですので、私が推測するに、総裁が言わんとしたことというのは、二%の物価目標が達成されればデフレは終わります、したがって、他国のインフレ率との兼ね合い次第でありますけれども、理論的というのではなくて、論理的には実質実効為替レートにおけるデフレによる下方向へのバイアス、下方バイアス、これはなくなって、むしろインフレによる上方バイアスもあり得る、これが日銀総裁の真意だったんじゃないんですか。

○参考人(黒田東彦君) 
実質実効為替レートは大変難しい概念であり、これが何を示しているかということについては様々な理論が、あるいは議論があり得るわけでして、価格競争力を示しているのであるとか、いや、逆に言うと、その水準が下がるということは非価格的競争力が低下したので価格競争力がそれを補うように水準が下がっているんだとか、まあいろんな議論があって、必ずしも割り切った議論はできないというふうに思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、確かに名目為替レートが変化せずに国内の物価が上昇すれば、計算上、実質実効レートは円高方向、上の方向に向くということにはなるわけですが、一方で、内外の物価の先行きについての見通し、見方が変化すれば名目為替レートにも影響しますので、したがって、一概にどっちの方向に、そもそも実質実効為替レートの動きも一概に言えませんし

、それから、その背後にある為替レート、物価上昇率、そして多国間の貿易関係というのは非常に複雑ですので、基本的に、実質実効為替レートから為替とか物価の動きを予測するということは難しいと。

事後的に、こういう計算ができて、それが価格競争力を示しているとか、あるいは逆に経済の実力を示しているとか、いろんな議論があるんですけれども、いずれにせよ、このものから為替の先行きを予測するということは難しいということに尽きると思います。そういう意味で、理論的な概念というふうに申し上げたわけです。

○中西健治君 
いや、総裁、総裁は理論的という言葉を枕言葉に置いていますけれども、円安に行くかというか、上に行くか下に行くかは基本的に分からないと言っている中で、円安に行くことはありそうにないと言っちゃっているわけです。

そういう言葉を、というか、私、目の前で議事録読んでいるわけですから、そのままずばりを申し上げているわけでありますけど、やはり物価上昇目標との絡みにおいてこの実質実効為替レートについて言及されるのであれば私は分かるんです。

そうじゃないというふうにおっしゃるのであれば分かりませんけれども、そこはいかがですか。

○参考人(黒田東彦君) 
何度も申し上げて恐縮なんですが、実質実効為替レートの水準について、衆議院の委員会の方で質問された方が、この三十年来の数字を示されて実質実効為替レートがこれだけの円安の水準になっていますねということを言われたので、実質実効為替レートの水準がそうなっているということはそうなんですけれども、

ただ、それが名目為替レート、特に二国間の為替レートについて、現状の評価とか、あるいは先行きの見通しに何か関係してくるということは言えないと。

あくまでも理論的な、事後的な概念であって、それを先行きの物価や為替の見通しに使うということは難しいというふうに思います。

○中西健治君 
総裁、お言葉ですけれども、ここから更にという言葉を総裁は使っていらっしゃるんですよ。

今後のことについて、名目為替レートじゃないですよ、けれども、実質実効為替レートについて、ここから更に円安に振れていくことは普通考えるとなかなかありそうにないということかと思いますとおっしゃっていますから、やはり私は、物価上昇との、物価目標との関連で言う以外は少しこれだけだと当然誤解を生じる、当然そのような報道になっていくであろうということなんじゃないかなというふうに思います。

 では、総裁、このチャートを御覧になって、この教訓を導くとしたら、この間の発言についてじゃないですよ、教訓を導くとしたら、私は、十五年以上前からもっと積極的な金融緩和策を取って、デフレから脱却する、そうしたことを行っていくべきだったのではないか、こういうことを読み取るべきなんじゃないかと思いますが、総裁はいかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 
私自身、一九九八年から二〇一三年まで十五年続きのデフレというものを克服してデフレマインドを払拭しなければならないということは全くそのとおりだと思いますが、それは、過去十五年、二十年の物価の状況とか経済の状況を見ればある意味で明らかなことであって、

この実質実効為替レートから、先ほど申し上げたように、これは為替と物価としかも多国間の貿易関係と、三つの関係を含んでいますので、これから十五年続きのデフレが好ましくなかったということを引き出そうというのはこの理論的な概念とはちょっと離れているので、

あくまでも十五年続きのデフレというものはデフレ自体で問題であるし、経済の停滞につながったという意味でこれから脱却しなければいけないということはまさに委員と全く同じ意見ですけれども、それはこのグラフから出てくるというよりも、むしろ直接的に物価の動向や成長あるいは雇用等のデータから明らかなことではないかというふうに思っております。

○中西健治君 
この実質実効為替レートですけれども、これはよく使う人いるんです。

使う人というのは、今は表面的には円高に見えるけれども本当は円安だ、だからこれ以上円は安くなっちゃいけない、こんなような円高論者がよく使う指標かなというふうに思います。

市場関係者の中では、エコノミストでは使う人はいますけれども、実際にディーリングを行う人たちは全く見ていないということですし、長期的なものを示すといっても、企業が長期の為替レートを推測するときにもこれは全く使われていないということなんじゃないかと思います。

 その中で、この実質実効為替レートについての評価ですけれども、総裁は、迂遠なもの、金融政策を策定するに当たっては迂遠なものという評価をこの間はされていましたけれども、私自身は、もうこれは金融政策を検討する際には一顧だにしないものだということなんじゃないかと思いますが、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 
これは日銀総裁としてというよりも、実はこの実質実効為替レートというものが最初に開発されたのがIMFで開発されたわけですね。

その当時、私はIMFで勤務しておりましたので、それをめぐる議論とかその論文等を読んだことがあるわけです。

その後四十年ぐらいたって、委員御指摘のとおり、これから何かを読み取るとかするのは非常に難しいものであって、これはやはり、金融政策とかそういうものについては、これがすぐに何か役に立つとか言われても、それは役に立たない。

非常に迂遠なものだし、先ほど申し上げたように、為替の動きを占う面でも直接的にこの含意がはっきりしているというものでもありませんので、そういう意味で、私は、理論的なものとしてあるけれども、金融政策との関係ではやっぱり非常に迂遠なものであると思いますが、

ただ、この理論を開発した人を私はたまたま知っておりますので、全く無意味だ、一顧だにするなと言われると、そこまで言う必要はないと思いますが、ただ、金融政策にこれが何か非常に深い意味があるとか縁があるとか、そういうことはないという意味では全く同意見であります。


○中西健治君 質問を終わります。どうもありがとうございました。
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