外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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黒田ラインって何ですか?

2015.12.17

category : トンデモ予想

8:29 - 2015年12月17日
「125円台に黒田ラインがある。しかし、その時(6月)に黒田総裁が『これ以上の円安はない』と言ったのは実質実効為替レートの話だ。今は、実質実効為替レートは円高に来ており、125円台になっても、気にしない、、」

野村證券の池田さんは、当時の黒田総裁の国会での発言を聞いていませんね。

議事録で確認もしていないでしょう。こんなおバカな話は一切無視して下さい。

為替は「財務省の専管事項」です。日銀は介入などの「実行部隊」です。

「実質実効為替レート」を持ち出すなど論外です。
これは「円高論者の便利な道具」として、我々は嫌っていると言うより、 見てはいけない「取扱注意物件」として教えています。

理由ですか?

いつでも円高の相場予想が作れるからです。

池田さんは、それを円安に行く(行くことが出来る)道具として使いました。あまりにアホらしくて、、、、

6月の衆議院財務金融委員会で、

「為替の水準の評価ということについては、具体的な評価は私から申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、一般的、理論的に申し上げますと、実質実効為替レートがここまで来ているということは、ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れていくということは 普通考えると、なかなかありそうにないということかと思います」(公式議事録)

と発言した時

「実質実効為替レート、これ以上の円安ない」

との速報が流れ、それを見たスポット・ディーラー

「これ以上の円安ない」

の部分に反応したので、1円近く円高にいったと言うのが当時の状況です

スポット・ディーラーは「勘」だけの世界の住人ですから、実質実効為替レートなんて知りません。

「知らない=分からない」です。

なんかよく分からないが、「黒田総裁が円安はないと言ったらしい」と言う事だけは理解できたので、条件反射的にドル円を売っただけです。

本の中で「場末のディスコの黒服の様な、、、」とご紹介した通りです。

議事録で確認できますが、そもそも「実質実効為替レート」を持ち出して来たのは黒田総裁ではありません。
民主党の前原議員が、「円安を材料に政府を攻撃しよう」と持ち出してきたので議論となっています

黒田総裁は、先ほどの発言の前に「為替相場の安定は財務省の権限と責任」と釘を刺して、さらにこう述べています。

「この指標(実質実効為替レート)自体はIMF等が開発して広く使われている指標ではありますけれども、そのときそのときの為替の安定をどのように図るかという問題とか、あるいはそのときそのときの金融政策についてどういう政策をとるべきかということについては、やや迂遠な指標であるということは御理解をいただきたいと思います」

「迂遠」とは「実用にならない」と言う意味です。

つまり、「そんなもの持ち出してきちゃだめですよ。これで為替の安定とか金融政策がどうとか議論しちゃいけません」と叩き返しています。

それでも前原議員がしつこくネチネチと「ああだこうだ」と言い、受け答えをしている内に、先ほどの発言が出たと言う事です。

そこで「実質実効為替レート」なんて知らないメディアが速報を流し、スポット・ディーラーが飛びついただけです。

ちなみに、翌週の参議院財政金融委員会で、中西けんじ議員が、

「そもそもあんな議論をするべきではなかった」

として、

「実質実効為替レートは、円高論者の道具。エコノミストで使う人はいるが、実際にディーリングを行う人たちは全く見ていない。長期的なものを示すといっても、企業が長期の為替レートを推測するときにもこれは全く使われていない。迂遠だなどと分かりにくい言い方ではなく、『一顧だにしない』と宣言すべきでは?」

と水を向けたところ、

「これから何かを読み取るのは非常の難しい。金融政策に役に立つかと言われても、それは役に立たない。為替の動きを占う面でも、 直接的にこの含意がはっきりしているというものでもないので、そういう意味で、私は、理論的なものとしてあるけれども、金融政策との関係ではやっぱり非常に迂遠なものであると思う」

「金融政策にこれが何か非常に深い意味があるとか縁があるとか、そういうことはない という意味では全く同意見であります。ただ、IMFでこの指標を作った人間をたまたま知っているので、一顧だにしないとまで言うと、、、(委員会室全体が爆笑状態)」

と黒田総裁は答えています。

中西議員とこの質問を作ったのは、、、((^┰^))ゞ

いずれにせよ「黒田ライン」なんて存在しませんよ。「麻生ライン」ならあるかもしれませんが、、、

ただ、プラザ合意直後の三重野副総裁(当時)の有名な「あめ細工」発言じゃありませんが、相場そのものを自由に動かすことは政府・中央銀行でも不可能です。

「為替レートは、財政・金融政策などの結果決まるもの」と言うのが、真っ当な財務省関係者(日銀も)の認識です。

+++++++++++++
Hirokiさん、
我々がスポット・ディーラーは「条件反射する」と言うのは、ヘッドラインだけ見て中身を読まずに反応するからです。とりあえず売買して、 後から中身を読む(または、読まずにストラテジストに聞く)と言う感じですね。

それで、「え?このニュース売りじゃないの!やばい」とか言って、慌てて買い戻すなんて事はよくありましたよ(笑)
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