外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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ご質問への回答です

2016.12.22

category : お役立ち?情報

ツイッターでご質問を頂戴したのですが、回答が長くてリツイートするととんでもないことになりそうなので、こちらに記載させて頂きました。


1)富田さんの言う 「普通の外国為替市場」 というのは、インターバンク取引のことでしょうか?

――はい。その通りです。IMMとはケタの違う規模の市場です。


2) 「インターバンクは基本的に直接取引なので、大口ファンドのポジションはわからない」
ということになるでしょうか?
  
――誰も他人のポジションは分かりません(細かい説明は後ろに書いておきますね)。

そもそも他人のポジションを知っても何の役にもたたない世界です。あまりに規模が大きすぎるので、 「大口ファンド」 と言ってもワン・オブ・ゼムです。
外国為替市場は、経済学が想定する完全競争市場に近いものです。ヘッジファンドの皆さんも、その事は百も承知なので非常に謙虚でしたよ。

余談です。
個別株の市場は為替に比べるとけた違いに小さいですから、ちょっと大玉を振ると影響力を行使できるので悪い事をしていると言う噂を聞いた事がありますが、、、、

――冒頭 「分からない」 と一般論でお答えしましたが、実は個別ファンドのポジションが分かっている人がいます。ファンドのリスク管理をしているプライムブローカーです。ただ、強烈な守秘義務の下にありますから、これが外に出る(漏れる)事はありません。
本にも書きましたが、ポジションどころか「○○が売った/買った」と言う情報を漏らしただけでクビになったディーラーがいます(事実です)。ましてや 「管理部門」 の人間にとっては、情報を漏らすインセンティブはゼロですね。

3) 「IMMやFX業者の統計から、小口取引の傾向はわかるが、為替の動きに影響ない」
ということになるでしょうか?

――はい。傾向は分かりますね。
ただ冒頭に申し上げた通り、 「完全競争市場」 で 「一部の人たちの取引の傾向」 が情報としてどこまで有益なのかは疑問です。

気にしても構わないのですが、世界は広いですよ。とんでもない金額を振り回している人達がウロウロしています。従って、こういった統計から 「投機筋は、、」 と一般化してしまうのは危険です。

ちょっと脱線します。
守秘義務があるのであまり細かいお話が出来ないのですが、私のいた金融機関では、ビッグデータ解析を使って、 「短期の投機筋」 と 「もう少し長いタイムスパンで動く中長期の投機筋」 のポジションをつかんでいました(もちろん完全ではありませんが)。
面白いことに、ある通貨に対して 「短期」 がロング、 「中長期」 がショートなどと正反対のポジションになっている現象が見られたりもしました。

こう言う世界を見ていますから、 「投機筋のポジションが○○なので、相場はこうなるだろう」 などと言っているのを聞くと 「あらま(笑)」 と思ってしまいます。

しかも公表されているIMMのポジションは、 「1週間前のある一時点」 の写真の様なものです。
「短期の投機筋」 の 「1週間前」 のポジションがどうのこうのと言うのは、変な会話だと思います。わたしには 「冷たい熱湯」 と言っている様にしか聞こえません。

コロコロ変わるからこそ、 「短期筋」 だと思います。百歩譲って参考にするならば「2週間前と1週間前の変化」ぐらいですね。いずれにせよ1週間前の昔話をされても困ってしまいます。

さらに言えば、 「知られても、実際にIMMで取引している人達に何の悪影響もない」 から公表しているのだと思います(思っていました)。
これに、どれほどの意味があるんでしょうね?


4)為替にも、先物主導で動くようなことがあるのでしょうか?(ヘッジファンドは、為替の先物を多用していますか?)

――「先物」 の定義の問題になってしまいますが、そもそも株式の様な 「先物取引」 は存在しません。似ているものとしては 「通貨インデックス」 だと思いますが、通貨インデックスそのものを取引する場はありませんね。

「取引所」 があればなんとかなるかもしれませんが、外国為替取引所と言う 「物理的に限られた場所」 が存在せず、不特定多数の参加者が勝手につながった電子空間(昔は電話空間でしたが 笑)にあるバーチャルな市場ですから無理ですね。
と言う事で、イメージされている様な意味での 「先物主導」 は存在しません。

もう少しご説明すると、そもそも個人の皆さんが店頭で外貨を売ったり買ったりして、その場で決済するのが 「現物」 だとしたら、すべての外国為替取引は 「先物」 となります。
売買の基本となっているスポット市場の受け渡しは「2営業日後」ですから、先の話ですよね。

いずれにせよ 「2営業日後受け渡しのスポット取引」 以外の取引をする意味もなければインセンティブもなく、そもそも物理的に不可能と言う事になります。

これに反しているのがIMMです。
「2営業日後」 ではなく、 「特定の受け渡し日」 を設定して差金決済を条件として取引をしています。
我々が実務で一般的に使う 「先物取引」 と混乱を生じない様に、この種の取引を 「先渡し取引」 と呼ぶ事もありました(ほとんど無視していたので、この用語を知らないディーラーも多いと思います)。
英語だとフォワード (forward) とヒューチャー (currency futures) と、明らかに名称が違いますから分かり易いですね。

いずれにせよ、圧倒的に大きいのは 「普通の外国為替市場」 ですから、彼らはこちらに合わせる必要があります。そうしないと裁定取引でボコボコにやられますから(笑)。90年頃まで、彼らをカモにして大儲けさせて頂いていましたよ。

毎日 「2営業日後から設定している受け渡し日までのスワップポイントを計算して、普通の外為市場のスポット取引の水準にそれを足したり引いたりして換算しながら」、しかも逆数(1円=●.●●●●ドル)で取引する なんて、アホらしいと思いませんか?

インターバンクと同じ表記と同じ2営業日後で売買が出来る個人のFX取引の方が、ずっと恵まれていると思います。

80年代に 「鯨の皆さん。そんなタライじゃなくて、こちらにいらっしゃい!」 と営業して成功した事は本に書いた通りです。だから、 「あんなところに大口のヘッジファンドはいません」 と断言出来ると言う訳です。

いない理由には、プライムブローカーと言うシステムの問題もありますが、いずれにせよあそこにはいませんね。

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