外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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べき論予想の恐怖

2016.01.28

category : トンデモ予想

野村證券の池田さんは、先日「円安派」としてテレビに登場していました。

(円高派佐々木(JPモルガン・チェース)Vs.円安派池田(野村證券)

このブログで、

+++++++++++++
池田さん 「議論がしたかった。有益だった!」

無意味な議論です。スポーツをやっている訳ではありません。

視聴者や顧客がリスクを取る話です。

ストラテジストはリスクを取らないとは言っても、予想を出すからには、当てないと「有益」などとは言えません。
++++++++++++++

と批判したのは、「べき論」予想の危険性を強く感じたからです。

その予感は間違っていませんでした。

つい2週間ほど前に「2016年末 135円」と出したばかりなので、引っ込みがつかない様です。

一旦予想を出した後でも、その後の状況の変化に柔軟に対応して、「当たる予想」を目指すべきだと思いますが、、、
(そもそもこんな長期予想は出すべきではありませんが)

(2015年末予想の結果と2016年末の予想)

昨日発表のFOMC声明文に関しては、一言「ハト派的」と言っただけでオシマイ。ドル高円安派としては、「タカ派的」でないと都合が悪いからですね。

後はひたすら

「どうすればドル高円安になるか」

と言う話に終始しました。

典型的な「べき論」予想です。

「明日日銀の追加緩和があれば、120円を超え130円に向かう。無ければ115円~120円のレンジに留まる」

何の意味もない発言です。

昨日、ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木さんがまとめていた様に、ECBの予告緩和が発表になった事で、その後のFOMC、さらには日銀の政策決定会合と言う連続が強く意識される様になっています。

従って、ストラテジストは、

「FOMCの声明文が発表された現時点で、日銀の追加緩和の可能性に変化が出たのかどうか」

について、ご自分の見解・分析を明確に示すのが今朝の重要な仕事だったはずです。

<おまけ>
「原油価格の上昇が、ドル円の上昇につながる」

とおっしゃいましたが、私が知る限りでは

「長期的には原油価格とドルは逆相関、または相関関係は無い」

と言うのが、原油の世界のプロの常識です。

ちなみに、私は現役時代に、「原油価格が〇〇なので、ドルは、、、」と語った記憶はありません。
知らない市場と為替との「因果関係」なんて、怖くて語れませんでしたから、、、

知らない市場の事に口を挟むべきではありません

2016.01.25

category : トンデモ予想

三菱UFJ信託銀行の藤島さん、

「8月の上海株の下げは11営業日だった。今回も同様の日数に来た。従って『日柄』から株価が落ち着く」

株式市場でリスクをとったことがおありですか?
これって、

「前回の雨は3日で終わったから、たぶん今回もそろそろあがるだろう」

と言う天気予報よりもひどいですよ。

「EIAの原油在庫統計を受けての原油価格の反発は、積みあがったショートポジションの巻き戻しだ」

すごいチャートをを見ました!!
間違いなく世界初です。

「ヘッジファンドの原油のネットポジション」

一体、そんなものどこで見つけてきたんですか!?

あれ??

これってもしかして、IMMのポジションじゃないですか?

勝手に「ヘッジファンドの」などと名前をつけないで下さい。ただの小口の投資家です。

知らないにもほどがあります。

ちなみに、藤島さんは10月頃に「トンデモ・テクニカル分析」を披露していた方です。

視聴者や個人投資家をあまりにバカにしていませんか?

(原油価格とドルの関係はツイッターのチャートをご参照ください。完全に逆です)

(トンデモ・テクニカル分析です)
(その続編・結果です)
(テクニカル分析で相場を語るのがお好きな様ですが、真面目に取り組んでいる皆さんに失礼だと、、)

実効為替レートは、黒田日銀総裁から使用禁止と言われていますよ!

2016.01.21

category : トンデモ予想

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の伊庭さん。BBHには、

「今年は1ドル=130円を超える(135円と言う記事も見た様な)」

と言う予想を出している村田さんと言う通貨ストラテジストがいますから、この方はディーラーかマネージャーでしょうね。
この会社(銀行ではありません)は市場部門をNYに集中していますから、ご自分でリスクをとる方ではないでしょう。

「今日も株や原油の動向を見ながらの展開。ただ、ドル円は底堅いと思う」

え?昨日の夕方6時頃一瞬115円台に突っ込んだ時、原油なんて全然動いていません。
欧州株はその1時間ぐらい前から始まっていて、ずっと安値圏でダラダラしていましたよ。

何度も言っていますが、短期で為替をやっているディーラーや投機筋は、お隣の株とか、ましてや原油マーケットなんて見ているヒマはありません。
しかも「底堅いだろう」と結論だけ言われても、、、

(アナウンサー)「今後は」
(伊庭さん)  「中国の混乱は沈静化する。ムード先行の円買いは収まる」

根拠を示して頂きたいですね。これでは「神のご託宣」です。

(伊庭さん)「円の実効レートから見ても、円買い一服感が出る」
<下の2つの内、上のチャートだけが登場>

伊庭さんドル円実効レート

<TV画面の写真が撮れなかったので、日銀HPから実質実効レートのチャートを作りました。伊庭さんが見せていたのは、実効為替レート(名目)の様なので若干違いますが、3年ぐらいなら上のチャートと似たり寄ったりです>

どうして2012年以前を見せないんですか?

上の様な2012年から(だけ)の実効為替レートのチャートを見せられても、何の説得力もありません。
下のチャートの赤い部分だけを、画面いっぱいに横に伸ばして見せるって変ですよね?

見せると話がぐちゃぐちゃになるからですね(笑)

下のチャートは、今朝の伊庭さんとは逆に、円高派のべき論ストラテジストがよく使いますよね?

「実質実効レートでは、まだ大幅な円安状態だ!」

って。
これを使えば、いつでも「円高予想」が作れる事が分かりますね(上に行くと円高です)。
だから、我々は「使用禁止」「取扱注意」と言っていました。

黒田日銀総も、

「こんなものを見て現実の為替の議論をしてはいけない」

と国会で答弁しています。

総裁は、日本の為替政策をつかさどる財務省の財務官も務めたと言う通貨マフィアの中の通貨マフィアです。
こんなもの出してきちゃダメです。黒田総裁に怒られますよ。

ちなみに、本でも紹介しましたが、

「自分に都合の良いところまでしかデータは遡らない(チャートは見せない)」

と言うのが、この手のトンデモ予想の常とう手段です。

*ご参考*
(黒田日銀総裁の2015年6月参議院財政金融委員会での、中西議員に対する答弁)
「実質実効為替レートは迂遠(うえん=実用に向かない)な指標です。これで現実の為替の予想や水準の議論をするべきではありません」

国会答弁と言うものは、公式の記録が残る非常に重たいものです。
ちょっと言い間違った場合でも、後から「訂正を認めてくれ」と言う公式文書が回ってきますよ。

本に書いていたのはこんな話です

VIX指数とドル円の水準を比べて「円高が行き過ぎ」ですって!?

2016.01.19

category : トンデモ予想

SMBC信託銀行の尾河さん、
「8月にVIX指数が50を超えていた時と比べると、今は27ぐらいだ。それなのに同じ水準まで円高が進んでいる」
「(VIX指数が示す)市場の不安度合いと比べると円高は行き過ぎ」

え?そんな無茶苦茶な、、、、

VIX指数の水準と為替の水準に、何か関係があるんですか?

確かにTVに出している部分だけを見ると、何となく関係がありそうですがそんな訳がありません。
vix指数とドル円―短期

急いで過去5年のVIX指数とドル円のチャートを上下に並べてみました。
「水準の話」なんて、絶対に出来ないことが一目瞭然です。

下のチャートの赤い線から右の部分だけを切り取って、しかも水準が合う様に目盛りを調節して見せただけです。

こんな話を信じて「そうか円高は行き過ぎだ」なんて、絶対に考えないで下さい。

vix指数とドル円―長期

そもそもVIX指数の算出法と根拠をご存じなんでしょうか?

要するにオプションのボラティリティです。しかも「株式」ですね。為替ではありません。

ボラティリティとは、値動きのドタバタ度合を指します。

従って、計算の対象となる株価指数が過去と同じ水準だとしても、急落している時とゆっくり動いている時、毎日一定の割合で動いて到達した場合とドタバタしながら到達した場合では、VIX指数は全く違った数値になります。

しかも、どこまでも上がり続けたり、下がり続けたりするものではありません。時々大きく変動することがあっても、必ずある一定の水準の間を上下動します(2段のチャートの上の方がVIX指数です)。

いくらなんでも、、、

次の「プロの眼」コーナーでの為替の解説なんですが、コメントしたくありません。

間違って見てしまった方は、きちんと記憶から消してくださいね。

円高派佐々木(JPモルガン・チェース)Vs.円安派池田(野村證券)

2016.01.10

category : トンデモ予想

7:58 - 2016年1月9日
先日の「円高派佐々木(JPモルガン・チェース)Vs.円安派池田(野村證券)」の直接対決に関しては、「過去の予想と結果を確認してから聞いて下さい」と言う1行で終わりにしていました。

論評しても無意味だからです。どちらの会社にも知り合いのディーラーがいますが、こう言う「予想」を全く気にしていない事を知っていますから。

ただ、フォロワーの方から「どちらももっともにも聞こえるので不安。今回の議論の内容の評価は?」と改めてご質問があったので、回答を公開する形でツイートさせて頂きます。
佐々木さん池田さん

池田さん  「金利差の拡大でドル高だ」
佐々木さん「利上げの初期はドル高、しかしその後はむしろ下がる」

佐々木さんのご指摘の方が、事実関係としては正確です。

ただ、以前ツイートしましたが、「景気が良い→投資機会が増加→資金が流入→通貨高&(景気過熱懸念で)利上げ」と言う事であって、必ずしも「利上げでドル高」ではありません。
これを指摘しないので、お二人とも間違いです。

佐々木さん「2年物利回り差とドル円の相関関係は、アベノミクス以降崩れた。特に短期は逆相関」
池田さん 「金利差とドル円が1対1で相関しなくてよい。需給も大事」

これは苦しい反論ですね。
だから「相関関係で相場を語るな」と書いたんですが、私の本なんて読んでいないですよね(苦笑)

(アナ)「短期で見ると、しっかりと相関関係がある」

あ!これは反則攻撃です。 池田さんの旗色が悪いからって、乱入しちゃだめですよ。チャートを見て下さい。長期で見ても、短期で見ても、明らかにズレています。

佐々木さん「10年債利回り差を使ったモデルだと、110円ではなく105円」

え? 2014年のドル円と10年債利回りは逆相関ですよ。
こんなもの見ちゃダメ」と何度もツイートしていますが、「理論モデル」に出来るぐらい長い期間をとると「緩やかな正の相関性」がありそうですよ(予想の役には立ちませんが)。

御行の債券ストラテジストは、6月末2.5%、2月末2.8%と上昇すると予想しています。「モデルを使うとさらに円高」と言うのは理解出来ません。
2014年の様に、「逆相関」がまた出現すると言う事でしょうか?そもそも110円は、どう言う算出根拠なんでしょう?

佐々木さん「円高になると海外に投資していた投資家が(外貨資産を)投げてくるので、さらに円高」

うーーん、機関投資家は、すべてのポートフォリオの中で、外貨リスクをコントロールしています。「円高になったらぶん投げる」は、失礼だと思いますよ。投資のご経験がないんじゃありませんか?

池田さん「2005年頃から、為替に構造変化がある。株に影響 される世界から金利に影響される世界に変わった」

本当ですか?(絶句)

私の尊敬するストラテジストも、同僚も、ヘッジファンドをはじめとするプロのお客さんも、そんなことは一言も言っていませんでしたが、、、、

池田さん「議論がしたかった。有益だった!」

無意味な議論です。スポーツをやっている訳ではありません。

視聴者や顧客がリスクを取る話です。

ストラテジストはリスクを取らないとは言っても、予想を出すからには、当てないと「有益」などとは言えません。

(アナ)「年末にまた来てください」

佐々木さん、
時間のムダですからやめましょう。こんな形の予想は副業です。メジャーリーグのストラテジストとして、世界中のプロの投資家相手の本業に専念して下さい。

<元の同僚寄り>と言うご批判があるかと思いますが、、、、

確かに

「東京に為替のストラテジストが欲しい!」
「自分でやれるだろ!」
「いや、無理だ!時代は変わったんだ」

と何年もボスとケンカして、佐々木さんを採用してもらったのは私です。

でも、甘い評価をする世界ではありません。

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