外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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為替のストラテジストは何をしているのか?

2016.04.27

category : お役立ち?情報

本を読んで下さった方から、ご質問を頂きました。
あんな内容の本にご興味を持って頂き、本当に有難う御座います。

その中で一番多かったのは、「ストラテジストの本業の『分析』について、もっと具体的に」と言うものでした。

確かに、紙数の制限の問題もありますが、具体例となるとあまりに細かい話になり過ぎると言う事で割愛していました。

ただ、ブログならベタベタ書けますので、、、、(笑)
昔話で恐縮ですがちょっとご紹介させて頂きます。

ギリシャが危機的な状況に陥った後、その打開策を巡ってユーロ圏の首脳会議や財務相会合など、様々な会議が何度も開かれたのはご承知の通りです。
いつ終わるか分からない会議です。で、突然

「ユーロ圏財務相会合:ギリシャ支援で大筋合意!」
等と言うヘッドラインが流れます。

「決裂」ではなく「合意」ですから、とにかく市場はユーロ買いで反応し200ポイントぐらい急騰。
しかし、我々は動きませんでした。

ストラテジストは、即座に
1)合意内容をチェック
2)現地の情報をとる
と言う作業をしてくれます。

やがて、
「『合意』と言っているが中身がない」
「追加策を協議していたはずなのに、これまでの支援策と変わりがない」
「『合意に至らなかったこと』に合意しただけ」
等と言う分析をくれます。

そうなればユーロを買い戻す必要はなかったことになります。もし、買ってしまったのなら売るべきです。

「ドイツ財務相とイタリア財務相は、会議後会釈もせずにすぐに会場を出た」
等と言うウラ情報が来たらもう間違いありませんよね。

ただし、ストラテジストは、絶対に「買え」とも「売れ」とも言いません。つまり「相場の予想」はしません。

彼らの分析を信じるかどうかはディーラーの判断です。
どう売買するかは自己責任です。

しかし、長年一緒に働いていれば、自分の会社のストラテジストが正しい分析をするのかアホなのかは分かります。

もちろん、こんな簡単な話ばかりではありません。

ただ、
「ヘッジファンドやプロの投資家は、本物のストラテジストのいる金融機関としか取引をしない」

と本に書いた理由が、少しお分かり頂けたのではないでしょうか?

「専門家」 を自称する人達がメディアで語っている 「予想」 や 「分析」 とは、まったく違う次元の世界です。

そもそも情報のネットワークのレベルに天文学的な差があります。残念ですが金融は完全に英語の世界です。

つまり数人のディーラーで細々とやっている海外支店の日本人から情報を得ているのでは、お話にならないことは自明です。

メガと言っても、NYやロンドンなど世界の金融センターでは 「誰だっけ?」 ですよ。

ましてや、そもそも海外ネットワークのない金融機関のストラテジスト(専門家)は、どうやって 「まともな情報」 をとるんでしょうね?個人投資家の皆さんと同じレベルで、メディアから得ているだけかもしれませんよ(多分当たっているはずです)。

もちろんディーラーもプロのお客さんも、メディアで語られている 「専門家」 の与太話は一切無視しています(これも本に書いた通りです)。

騙されないでくださいね。

ブルームバーグ元NY市長が大統領選参戦か?

2016.02.28

category : お役立ち?情報

ブルームバーグ元NY市長が、米大統領選に出る可能性が高くなっています。

<共和党予備選の状況>
主流派のクリスティー知事が支持を表明したことで、共和党ではトランプ氏が非常に有利になりました。

しかも、東海岸、南部、西部とすべて勝った訳ですから、共和党有権者のトランプ支持は本物であると言わざるを得ません。

巨大な組織と資金力を持ち、どう考えても最も強敵だったはずのジェブ・ブッシュ氏が降りてしまいました。残った候補の中には、トランプ氏に対抗できるだけの力を持った人はいません(私見ですが)。

テッド・クルーズ氏は、地元テキサス(大票田)での予備選に勝って選挙戦を続けると思います。ただ、元々ティーパーティーや教条主義的な保守主義者の支持しかありませんから、全米で伸びる可能性は低いと思われます。

マルコ・ルビオ氏は、若いですし非常に演説がうまく、ヒスパニック系であることもプラスだと思います。ただ、上院議員1年生であり、あまりに政治経験(と人生経験)が少なすぎるという点が、本選ではマイナスになると共和党支持者からは不安視されています。

その証拠に、スーパー・チューズデー(3月1日:9州の予備選と3州の党員集会)でルビオ氏が勝つという予想は「ゼロ」です。「ルビオ氏が有力」などというメディアは、きちんと取材が出来ていないと思われます。

もし、大逆転があるとすれば、3月15日のフロリダです。ここは「勝者がすべてをとる」仕組みですので、一気に99人の代議員をとれるかもしれません。ただ「ヒスパニック系が多い州なのに、意外に支持が伸びていない」という情報が入って来ています。


<民主党はクリントン氏が最初から有利>
一方、民主党はクリントン氏で決まりです(と思います)。サンダース候補の善戦が報じられていますが、制度的に逆転はほとんどあり得ません。

民主党には特別代議員という制度があり、その大多数(502人)が支持を表明してます(サンダース候補は70人)。つまり、現時点ですでに獲得代議員数553人対121人と大差がついています。

あ、何のことか分からないですよね。
これは共和党の予備選には無い制度です。

民主党には、投票によって決まる代議員とは別に、特別代議員(super delegates)という制度があります。基本的に、各々の州の党幹部だと考えて間違いありません。つまり、大物が特別な投票権を持つという非民主的な仕組みです(といったら、民主党支持者に怒られそうですが)。

いずれにせよ、その大多数がクリントン支持を表明しています。ニューハンプシャーで、サンダース候補が圧勝したのに獲得した代議員数が同じだったことに気づき、指摘する報道は日本語ではゼロだったと思います。

この仕組みがあるおかげで、クリントン氏が絶対に優位に立っています。

なぜか日本のメディアでこの仕組みが報道されたり、解説されたりしたものを見た事がありません。知らないのでしょうか?

「レースの前から約1/4の代議員を獲得しているクリントン氏と、ゼロベースのサンダース氏の闘い」という報道が見たかったですね。その意味では、サンダース候補は頑張っていると思いますが、、、、


<ブルームバーグってだれ?>
それはさておき「トランプ対クリントンだよね?」とNYの知り合いに言ったら、「いや、マイケルが出る」と言っていました。

マイケル・ブルームバーグ元NY市長です。

ブルームバーグといえば、われわれ金融の世界の人間には必要不可欠な情報端末です。単にニュースが流れるだけではなく、色々なデータを持っており、極めて高度な分析ツールも内蔵しています。これがまともに使えないと、金融市場の人間としてプロとはいえないですね。

さて、その世界一の金融情報会社の創業者ですが、NY市長時代の行政手腕が高く評価されています。しかも中道保守です。

トランプ氏に勢いがあるのは間違いありません。ただ、メディア的には支持が高くとも、あの過激な主張には、共和党の中間派(サイレント・マジョリティ)はついていけません。

クリントン氏は、本来右寄りだったはずなのですが、社会民主主義者を標榜して争っているサンダース候補に若者の票をとられたので、このところ大幅に左旋回をしてしまいました。

そのため、やはり中間派が離れています。

実務能力の高さでは非常に評価が高く、人柄としての評判も良いブルームバーグ氏が出馬すると面白くなると思います。

<ニューヨークは嫌われてるので、、、>
問題は、典型的な「ニューヨーカー」なので、中西部や南部の保守的なアメリカ人に支持されにくいところです。

もう40年近く前の話ですが、学生時代に北米大陸を1カ月半貧乏旅行して回りました。いわゆるバック・パッカーです。

その時に、「このあとNYに行く」といったら、「あんなところはアメリカじゃない。あなたが見ている、ここがアメリカだ」と言われたことを覚えています。

ジーンズにTシャツ、スニーカーで歩いたNYを、その10年後に背広姿で歩くとは夢にも思っていませんでしたが、、、(苦笑)

イエレン議長の議会証言ーードル高に神経質になっている様な気も

2016.02.11

category : お役立ち?情報

イエレン議長の議会証言は、昨日ツイートしブログでもご説明(予想??)した通り1月のFOMCの声明文を踏襲していたものの若干ハト派的でした。

つまり、ちゃんと真っ当なエコノミストやストラテジストの意見を聞いていた市場参加者にとっては、サプライズ無し(織り込み済み)ですね。わたし(引退したオッサン)が、ブログに書いていたくらいですから、、、

全体としては、「なにか変な言質をとられないように」と、言い回しや言葉の散りばめ方(FOMCの声明文の単語がパラパラと埋め込まれていますね)に非常に気を配っていることが伺えます。

株安、信用度の低い借り手の資金調達コスト上昇、ドル高と言った金融経済情勢(Financial Condition)が国内経済へのサポート材料ではなくなった(というより、むしろ足を引っ張っていますね)と、はっきりと懸念を表明しました。

Financial conditions in the United States have recently become less supportive of growth, with declines in broad measures of equity prices, higher borrowing rates for riskier borrowers, and a further appreciation of the dollar.

為替にご興味のある方は、後半でもまた「ドル高懸念」を指摘しているので気になるところではないでしょうか(わたしは、すごく気になりました)。

The low level of the neutral federal funds rate may be partially attributable to a range of persistent economic headwinds--such as limited access to credit for some borrowers, weak growth abroad, and a significant appreciation of the dollar--that have weighed on aggregate demand.

エコノミストの方なら、「ドル高そのものというより、アメリカ経済の内需に自信を無くしている」とおっしゃるかもしれません。つまり「通貨安だと輸出関連企業の業績にプラスなんだけどな、、、」という話です。

この点は、レポートなどで確認したいとことろです。あくまで「内需は堅調」という日銀とは好対照ですね。


今後の政策運営に関しては、労働市場とインフレ(FRBの2つ使命)に関する経済指標に掛かっている(depend on what incoming data tell us about the economic outlook=data dependent)という原則を強調していて、方向性を疑われないようにしています。

ただ「中立的な政策金利がしばらく低い水準に留まる」という見方を説明していますので、ハト派的だと思われます。こう証言したからには、ホイホイ利上げする訳には行かないですから、、、

(議会証言の原文です)

今晩のイエレン議長の議会証言に関して

2016.02.10

category : お役立ち?情報

さすがにこれだけ市場が動くと、「選挙で忙しい」とは言っていられません。中西議員は、ほとんど毎朝神奈川県内のどこかの駅で政策を訴えていますが、、、(こんな感じです)

特に今夜のイエレン議長の議会証言には興味があるので、ちょっと昔の知り合いに聞いてみました。

<結論>
ハト派的なメッセージが出るのはほぼ確実

これは、必ずしも最近の金融市場の動きを反映したからではありません。

すでに、前回のFOMC声明文で「先行きのリスク評価」を避けており、その後さらに不透明感が高まったからです。
しかも、インフレ目標の達成に近付いたという記述もありませんでしたから、、、

議会証言は、そういったFOMCでの議論を反映したものになると思われます。

ということえで、「ハト派的になること」は、すでにかなり織り込まれているようですよ。


あと、個人的には、「マイナス金利政策をどう考えているか?」という質問を是非やって欲しいんですが、、、

米雇用統計からイエレン議長の議会証言を予想すると、、

2016.02.08

category : お役立ち?情報

外国為替市場の参加者は、雇用統計に関しては非農業部門雇用者数の前月比が

「予想より増えたか、予想より増えなかったか」

で、とにかくまず動きます。
重要な指標が発表された時は、瞬間勝負の世界ですからこれは仕方のないことです。

ただ、もう少し落ち着いて外国為替市場に参加して稼ごうというのならば、

「雇用統計から、アメリカの景気動向をどう読むか」

という観点でもご覧頂きたいと思います。

すでにひと通りの内容は報道されていますが、我々が投資家やヘッジファンドのみなさんと議論するようなレベルにまでは踏み込んでいません。そんなものを流しても、一般の読者や視聴者のみなさんは「なんのこっちゃ?」で、視聴率や販売部数が落ちますから、、、

そこでダイジェスト版で、昔やっていた様な話を書き留めてみます。

まず結論は
「明確に利上げの回避を宣言させるほど悪いものではない」
です。

簡単にまとめると

1)非農業部門雇用者数
予想の+19万人より少なかったのですが、これで「腰折れ」と見るのは早計でしょう。
確かに10月~12月の約+28万人ペースよりも少ないのですが、私は「季節調整の失敗」の可能性を疑っています。「統計上の技術的問題」ですね。

<理由1>
--臨時雇用が12月にプラス2万5千人、1月にマイナス2万5千人とひどくブレています

そう聞くと
「当たり前でしょ。年末商戦用に大量採用があり、年明けに解雇になったんだから」

と思われるかもしれません。
しかし、そう言う月ごとのブレを消すのが季節調整です。ブレがそのまま出てしまっては、「季節調整」の意味がありません(笑)。

<理由2>
--1月の教育サービス部門の雇用者が、マイナス4万人と過去最大の減少を記録しています

去年のクリスマスは、丁度金曜日でした。従って、冬期休暇のとり方が、例年と違っていた可能性が考えられます。


ということで、この2つを見ると「統計上の技術的問題=季節調整」を疑うべきだと思います。

あ。雇用統計は「季節調整後」の数字です。ナマの数字ではありません。このことを知らずに語っている「専門家」に騙されないでくださいね。


そんなこととは別に、そもそも「雇用に手をつける前に、時短で対応する」のが当たり前です。ところが、1月の週平均労働時間は34.6時間と、12月の34.5時間から伸びています。

2)失業率の低下
労働参加率(働ける人の内、「すでに働いている」または「働くつもりで職探しをしている」人の割合)が上昇している中で、失業率が4.9%と最近の最低に下がったということは、労働市場はタイトになって来ているはずです。

その証拠に、昨年の1月頃から始まった時間当たり賃金の上昇傾向が続いています。
今月の平均時給が、予想の前月比+0.3%に対して+0.5%とむしろ伸びが加速していることにイエレン議長は注目していると思われます。

つまり

「賃金インフレ(インフレという表現が正しいのか?とは思いますが、プロの間では一般的に使われる用語なので、、、)」

が意識されることから、水曜日(と木曜日)のイエレン議長の議会証言は

「市場が期待しているほどハト派的ではない」

のではないかと思われます。

以上、引退したオッサンなので若干(というか、まったく)ツメが甘いですが、ご参考までに、、、m(__)m

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