外国為替市場の不都合な真実

ヘッジファンド等のプロのお客さんや同僚のディーラーは、「専門家」の予想を全く聞いていません。メディアに流れている情報は想像と妄想、ねつ造と勘違いばかりです。なぜ皆さんは信じるのですか?

プロフィール

富田 公彦

Author:富田 公彦
中西けんじ参議院議員(自由民主党:神奈川県選挙区)秘書
元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長
1980年東京大学経済学部卒
富士銀行入行(1986年退職)
以後、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関に通算26年勤務
2013年金融市場から引退
ケイマン籍ヘッジファンドの経営には失敗(^_^;)シマッタ

<著書>
「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」
(経済評論家・山崎元氏の書評)

「為替ディーラーの常識非常識」(共著)

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Brexitで世界経済に大打撃?!

2016.06.20

category : お役立ち?情報

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選挙で忙しくて細かく相場を見ていませんし、海外のネットワークから情報を集めたり指標の分析などもしていません。従って、この見解が正しいと主張するつもりはありません。ただ、長年国際金融の現場にいた人間として、どうも違和感があるので、、、、
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「Brexitになったら、世界経済に大変な悪影響が出る」 と、しきりと唱えている専門家がいます。

まあ、長年培ってきたEUとの関係が変わる訳ですから、平穏無事とはいかないでしょう。細かい問題点を挙げていけば、いくらでも出てきます。
「人間が犬に噛みついた」 話を追いかけるのがメディアの宿命ですから、「大変だ!大変だ!」 と言う報道が幅を利かせるのはいたしかたありません。

しかし、専門家たるものもう少し冷静な議論が出来ないのでしょうか?

EUには加盟していますが、イギリスの通貨はユーロではありません。これは非常に大事なことです。

独立した通貨を持っていますから、自由な金融政策をとる事が出来ます。リーマンショックの時に、ユーロ圏はマネーサプライを2倍にしか出来なかったのに、イングランド銀行は5倍に増やして乗り切りました。
金利だって、他の国の顔色をうかがわずに、自国の状況に最適な形で動かすことが出来ました。

あの時、ギリシャや南欧諸国などの事を考えれば、ECBはマネーサプライを5倍に増やしても足りなかったはずです。しかし、ドイツなどとのバランスで2倍に留めたと言う事です。金利はもっと思い切って下げるべきでした。

しかも驚くべきことに、2007年のパリバショック以降怪しい雰囲気が漂っていたのに、2008年7月(リーマンショックのたった2か月前)には 「引き締め」 ています。私は、これがギリシャ危機、南欧諸国の危機につながったと個人的に考えています。

独自の通貨を持たず、自国の経済情勢に合わせて金融政策をとれない悲劇です。

Brexitになろうがなるまいが、イギリスはこれまでと同様に独立した金融政策をとれます。財政政策はもちろん独立しています。つまり、マクロ経済政策的には 「何も変わらない」 と言う話です。


「英ポンドが暴落して大変なことになる」

ご冗談を(爆笑)

80円から125円まで円が大暴落して、日本経済や世界経済は壊滅しました?経済以前に歴史の勉強が足りませんよ。

イングランド銀行がERMと言う今のユーロの前身である固定相場システムから離脱したおかげで、イギリスは金融政策の自由を取り戻し繁栄しました。

こんなハルマゲドン・シナリオを唱えて、一般の皆さんの不安をあおるのは専門家の仕事ではないはずです。

「金融センターがロンドンから大陸 (フランクフルトやパリ) に動く?!」

現場を知らない方の妄言です。国際金融は徹頭徹尾 「英語」 の世界です。

Brexitによってロンドンが数千キロの彼方に引っ越してしまって、とんでもない時差が発生するならともかく、ドーバー海峡を挟んだところから動くことはありません。

ドイツ語やフランス語の都市の出る幕はありません。

為替のストラテジストは何をしているのか?

2016.04.27

category : お役立ち?情報

本を読んで下さった方から、ご質問を頂きました。
あんな内容の本にご興味を持って頂き、本当に有難う御座います。

その中で一番多かったのは、「ストラテジストの本業の『分析』について、もっと具体的に」と言うものでした。

確かに、紙数の制限の問題もありますが、具体例となるとあまりに細かい話になり過ぎると言う事で割愛していました。

ただ、ブログならベタベタ書けますので、、、、(笑)
昔話で恐縮ですがちょっとご紹介させて頂きます。

ギリシャが危機的な状況に陥った後、その打開策を巡ってユーロ圏の首脳会議や財務相会合など、様々な会議が何度も開かれたのはご承知の通りです。
いつ終わるか分からない会議です。で、突然

「ユーロ圏財務相会合:ギリシャ支援で大筋合意!」
等と言うヘッドラインが流れます。

「決裂」ではなく「合意」ですから、とにかく市場はユーロ買いで反応し200ポイントぐらい急騰。
しかし、我々は動きませんでした。

ストラテジストは、即座に
1)合意内容をチェック
2)現地の情報をとる
と言う作業をしてくれます。

やがて、
「『合意』と言っているが中身がない」
「追加策を協議していたはずなのに、これまでの支援策と変わりがない」
「『合意に至らなかったこと』に合意しただけ」
等と言う分析をくれます。

そうなればユーロを買い戻す必要はなかったことになります。もし、買ってしまったのなら売るべきです。

「ドイツ財務相とイタリア財務相は、会議後会釈もせずにすぐに会場を出た」
等と言うウラ情報が来たらもう間違いありませんよね。

ただし、ストラテジストは、絶対に「買え」とも「売れ」とも言いません。つまり「相場の予想」はしません。

彼らの分析を信じるかどうかはディーラーの判断です。
どう売買するかは自己責任です。

しかし、長年一緒に働いていれば、自分の会社のストラテジストが正しい分析をするのかアホなのかは分かります。

もちろん、こんな簡単な話ばかりではありません。

ただ、
「ヘッジファンドやプロの投資家は、本物のストラテジストのいる金融機関としか取引をしない」

と本に書いた理由が、少しお分かり頂けたのではないでしょうか?

「専門家」 を自称する人達がメディアで語っている 「予想」 や 「分析」 とは、まったく違う次元の世界です。

そもそも情報のネットワークのレベルに天文学的な差があります。残念ですが金融は完全に英語の世界です。

つまり数人のディーラーで細々とやっている海外支店の日本人から情報を得ているのでは、お話にならないことは自明です。

メガと言っても、NYやロンドンなど世界の金融センターでは 「誰だっけ?」 ですよ。

ましてや、そもそも海外ネットワークのない金融機関のストラテジスト(専門家)は、どうやって 「まともな情報」 をとるんでしょうね?個人投資家の皆さんと同じレベルで、メディアから得ているだけかもしれませんよ(多分当たっているはずです)。

もちろんディーラーもプロのお客さんも、メディアで語られている 「専門家」 の与太話は一切無視しています(これも本に書いた通りです)。

騙されないでくださいね。

高橋洋一氏に「デタラメをいって商売をしている」と言われて反論できない世界、、、

2016.02.28

category : トンデモ予想

高橋洋一って誰?

という方の為に、メディア等で公開されているプロフィールをご紹介すると

1955年、東京生まれ。80年、大蔵省(現財務省)入省、理財局資金企画室長、内閣参事官など歴任。小泉内閣、安倍内閣では 「改革の司令塔」として活躍。07年には財務省が隠す「埋蔵金」を公表、08年に山本七平賞受賞。政策シンクタンク「政策工房」会長、嘉悦大学教授。

となります(コピペです)。

その高橋氏は、

「株式や為替市場の短期予測は理論上もできるはずがないので、筆者はそうした株式や為替市場の短期予測をする人に対して 『デタラメをいって商売している』 という断言もしている」

と、機会あるごとに仰っています。

わたしが 「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」 という本を書いたのと、まったく同じ問題意識をお持ちです。

ということで、ここ一週間連続でモーニングサテライトに出演している 「専門家」 を追いかけるなどしてツイートしました。

ご覧頂いている方も多いかと思いますが、まとめてURLを掲載しておきます。

うーーーん、悲惨ですね。

(予想というには、あまりに、、、)

(介入ってそんなお気楽な話じゃありませんよ)

(本当にフィボナッチ級数で相場を張ったことがあるんですか?)

(勘違いを誘発させるようなチャートを一般の方に見せるのは、、、)

(テクニカル分析がお好きな方ですね。ただ、ものすごく恣意的ですが大丈夫ですか?)

(大統領選を材料に相場を張ったアメリカ人に会った事がありませんが、、、)

(今年は円安。135円を目指す、、、でしたよね?)

(だから「来年の話なんてやめときなさい」と言ったのに)

(レンジって何?どうせ同僚は見てないから、なんでも構わないけど、、)

ブルームバーグ元NY市長が大統領選参戦か?

2016.02.28

category : お役立ち?情報

ブルームバーグ元NY市長が、米大統領選に出る可能性が高くなっています。

<共和党予備選の状況>
主流派のクリスティー知事が支持を表明したことで、共和党ではトランプ氏が非常に有利になりました。

しかも、東海岸、南部、西部とすべて勝った訳ですから、共和党有権者のトランプ支持は本物であると言わざるを得ません。

巨大な組織と資金力を持ち、どう考えても最も強敵だったはずのジェブ・ブッシュ氏が降りてしまいました。残った候補の中には、トランプ氏に対抗できるだけの力を持った人はいません(私見ですが)。

テッド・クルーズ氏は、地元テキサス(大票田)での予備選に勝って選挙戦を続けると思います。ただ、元々ティーパーティーや教条主義的な保守主義者の支持しかありませんから、全米で伸びる可能性は低いと思われます。

マルコ・ルビオ氏は、若いですし非常に演説がうまく、ヒスパニック系であることもプラスだと思います。ただ、上院議員1年生であり、あまりに政治経験(と人生経験)が少なすぎるという点が、本選ではマイナスになると共和党支持者からは不安視されています。

その証拠に、スーパー・チューズデー(3月1日:9州の予備選と3州の党員集会)でルビオ氏が勝つという予想は「ゼロ」です。「ルビオ氏が有力」などというメディアは、きちんと取材が出来ていないと思われます。

もし、大逆転があるとすれば、3月15日のフロリダです。ここは「勝者がすべてをとる」仕組みですので、一気に99人の代議員をとれるかもしれません。ただ「ヒスパニック系が多い州なのに、意外に支持が伸びていない」という情報が入って来ています。


<民主党はクリントン氏が最初から有利>
一方、民主党はクリントン氏で決まりです(と思います)。サンダース候補の善戦が報じられていますが、制度的に逆転はほとんどあり得ません。

民主党には特別代議員という制度があり、その大多数(502人)が支持を表明してます(サンダース候補は70人)。つまり、現時点ですでに獲得代議員数553人対121人と大差がついています。

あ、何のことか分からないですよね。
これは共和党の予備選には無い制度です。

民主党には、投票によって決まる代議員とは別に、特別代議員(super delegates)という制度があります。基本的に、各々の州の党幹部だと考えて間違いありません。つまり、大物が特別な投票権を持つという非民主的な仕組みです(といったら、民主党支持者に怒られそうですが)。

いずれにせよ、その大多数がクリントン支持を表明しています。ニューハンプシャーで、サンダース候補が圧勝したのに獲得した代議員数が同じだったことに気づき、指摘する報道は日本語ではゼロだったと思います。

この仕組みがあるおかげで、クリントン氏が絶対に優位に立っています。

なぜか日本のメディアでこの仕組みが報道されたり、解説されたりしたものを見た事がありません。知らないのでしょうか?

「レースの前から約1/4の代議員を獲得しているクリントン氏と、ゼロベースのサンダース氏の闘い」という報道が見たかったですね。その意味では、サンダース候補は頑張っていると思いますが、、、、


<ブルームバーグってだれ?>
それはさておき「トランプ対クリントンだよね?」とNYの知り合いに言ったら、「いや、マイケルが出る」と言っていました。

マイケル・ブルームバーグ元NY市長です。

ブルームバーグといえば、われわれ金融の世界の人間には必要不可欠な情報端末です。単にニュースが流れるだけではなく、色々なデータを持っており、極めて高度な分析ツールも内蔵しています。これがまともに使えないと、金融市場の人間としてプロとはいえないですね。

さて、その世界一の金融情報会社の創業者ですが、NY市長時代の行政手腕が高く評価されています。しかも中道保守です。

トランプ氏に勢いがあるのは間違いありません。ただ、メディア的には支持が高くとも、あの過激な主張には、共和党の中間派(サイレント・マジョリティ)はついていけません。

クリントン氏は、本来右寄りだったはずなのですが、社会民主主義者を標榜して争っているサンダース候補に若者の票をとられたので、このところ大幅に左旋回をしてしまいました。

そのため、やはり中間派が離れています。

実務能力の高さでは非常に評価が高く、人柄としての評判も良いブルームバーグ氏が出馬すると面白くなると思います。

<ニューヨークは嫌われてるので、、、>
問題は、典型的な「ニューヨーカー」なので、中西部や南部の保守的なアメリカ人に支持されにくいところです。

もう40年近く前の話ですが、学生時代に北米大陸を1カ月半貧乏旅行して回りました。いわゆるバック・パッカーです。

その時に、「このあとNYに行く」といったら、「あんなところはアメリカじゃない。あなたが見ている、ここがアメリカだ」と言われたことを覚えています。

ジーンズにTシャツ、スニーカーで歩いたNYを、その10年後に背広姿で歩くとは夢にも思っていませんでしたが、、、(苦笑)

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